殺戮にいたる病
衝撃を受けた。
あらすじ
連続猟奇殺人事件が発生する。
異常なまでの陵辱的惨殺。その犯人を元警部の「樋口」と、被害者の内の一人の妹「かおる」が追う。
感想
内容が内容なだけに、グロテスクな描写がありもして、気分が悪くなった。吐いてしまいそうにもなった。
ただ純粋に楽しめたことも確かだ。
樋口とかおるがお互い傷を抱えながらも、協力しつつ殺人事件を追う。
被害者の一人に島木敏子という人物がいた。敏子は看護師で、樋口の妻が入院していたときに樋口は敏子を見かけていた。
その後樋口の妻が亡くなり、樋口は妻が亡くなったことで生きる希望を失っていた。
だが敏子が懸命に樋口を元気付けた。樋口の自宅にまで通いつめ樋口を労わった。
そうすることで樋口はこの世に命を繋ぎとめていた。
樋口は感謝していたのだろう。そして敏子の恋慕の気持ちにも少なからず気づいていた。
それでも樋口は彼女を受け入れなかった。夜遅くまで彼女が居座っても、何も手を出すことはなく追い返した。
甘えていたかったのだ。
彼女の好意に気づいていながらも、その気持ちに便乗し、甘えてしまったのだ。
そして追い返した晩に、敏子は何者かに殺されてしまう。
犯人を追うこと―――それは贖罪にもならないことは樋口にもわかっていたが、やらなければならなかったのだろう。
だから樋口とかおるは結託し、犯人を追ったのだ。
読み終えた後、衝撃を受けた。それは世界がひっくり返るような衝撃だ。今まで培ってきた既成事実が間違っている、いや、認識できていなかったという事実が読了後に一気に襲い掛かってきた。
その例えようもない心地よさ。僕はそれを味わう為に小説を読んでいるのかもしれない。