物語好きのブログ

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プレステージ

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全てはマジックだ。


マジックは3つのパートで成り立っている
最初のパートは「ブレッジ」
何でもない物を見せる
カードや鳥やあるいは人
何かを見せて本物かどうか
観客に確かめさせる
タネも仕掛けもないと
だがもちろんタネはある

2番目は「ターン」
その何でもない物で
驚くことをしてみせる
タネを探しても観客には分からない
実は観客は何も見ていない
何も知りたくない
騙されていたいのだ
だが拍手はまだだ
消えるだけでは十分じゃない
それが戻らねば

だからどんなマジックにも3番目がある
もっとも難しい
人はそれを「プレステージ」と呼ぶ




簡単なあらすじ

マジックの世界で繰り広げられる二人の悲しい競争劇。
次第に二人は危険を冒していく


感想

話が巧みに構成されており、映画そのものがマジックのようになっている。
見終えた後は、マジックを見終えたかのような感覚に包まれた。

マジックに全てを懸ける生き様は、恐ろしい。


ここからは少しネタバレを含む。

二人はどこから狂いだしたのか。
それはボーデンがもう一人の自分を用意したところから狂いだしたように思える。
そして、アンジャーとボーデンの価値観のズレこそが、この悲劇を生み出したのだろう。
ボーデンは言った。
「完璧なトリックには犠牲が必要だ」
ボーデンはマジックに全てを捧げた。人生を懸けたマジックを求め、自分の人生を犠牲にしていた。
アンジャーは家庭の幸福に全てを捧げようとしていた。その差ではないのだろうか。
その差が大きな悲劇を生んだ。

ただ、両者共々マジックに対しては真摯にありつづけたように思う。
「観客」がいて初めてマジックは成り立つということ。
その根幹を理解はしていても、復讐に駆られ、名誉を求めてしまうのは人間の性なのだろう。




アンジャーはこう言った。
「観客は真実を知っている。世界は単純で―――みじめで―――すべて決まりきっていることを。
だから彼らを騙せたら、たとえ一瞬でも、驚かすことができれば―――そのとき、君も素晴らしいものを見る
知ってるだろ?観客のあの表情」


自分がたとえ死に続けようとも、観客との喜びを分かち合える。それがアンジャーにとってのマジックの真髄なのだろう。

ラストの、ボーデンに撃たれるアンジャーのシーンが至高だった。
絞首刑にされて死んだはずのボーデンが、「プレステージ」を演じきってみせる。
絞首刑で死ぬ間際になっても、ボーデンはマジックを演じきる様は、かっこよく思えた。

マジックのような映画だった。