物語好きのブログ

映画や本の感想、自分の考えを書いています。 

今週見た映画二つとその感想

映画の感想が全く書けていなかったのでネタバレを控えつつ簡単に感想を書いていく。



とりあえず二つほど「トライアングル」奇人たちの晩餐会

まずトライアングルから

トライアングル [DVD]

あらすじ


友人に誘われ海に遊びにいったジェス達だが、海で嵐に見舞われて遭難してしまう。
そこで運よく現れた大型客船。ジェス達は大型客船に乗り込むがそこで待ち受けていたのは・・・・・・


感想

ネタバレを控えるといったな。あれは嘘だ。
感想を書こうとするとどうしてもネタバレありきになってしまう。

一応ループ映画なのだが、よくできたループになるほどと感心してしまった。
冒頭から張り巡らされまくった伏線が最後にうねりをあげて襲い掛かってきた。とはいっても最初から主人公が変な挙動をしていたから、何か怪しいなとは思っていたが・・・
大抵のループ映画ってそのループを断ち切ろうと試みたりするのだがやはり上手くいかなかったりすることが多い。
この映画でも例に漏れずジェスが早い段階でループに気づく、そして案の定悪い流れを断ち切ろうと試みる。僕も「これは上手くいったんじゃね?」と嬉しさ半分、嫌な予感半分で見ていたのだがまぁそうは問屋が卸さないな。
ループを断ち切られるという前提そのものがループの一部になっていたのだからどうしようもない。大円環(本命ループ)の中に円環(ループを断ち切る行動)が内包されているイメージといえば分かりやすいだろうか。要するにイレギュラーな行動すらループの中であって、結局繰り返しているのだ。

内容とは関係ないのだがこのDVDの表紙ってどうなの?と言わざるをえない。どこまでがネタバレになるのか微妙なラインだから仕方が無いのかもしれないが・・・・・・

ループの繰り返しで生まれた同じ死体の山は怖かった。

奇人達の晩餐会

奇人たちの晩餐会 [DVD]この表紙の人物が奇人のピニョンである。


あらすじ


ブロシャンにはバカな人間を招待して仲間達で笑いものにする「晩餐会」の趣味があった。今回招待するのはマッチ棒の模型作りが得意な税務局で働くピニョンだった。だが晩餐会当日にブロシャンはゴルフで腰を痛めてしまう。妻とも喧嘩をして家出をされてしまう散々なブロシャン。そしてブロシャンの家にピニョンが現れるのだが・・・・・・

感想


かなり笑った。ピニョンとかいう男。最高に面白い。
ブラックユーモア豊富な映画だった。
内容としては80分程度の短い映画なのだが、そんなことは関係なしに面白かった。
ピニョンの一挙一動に目が離せない。「次は何をしでかすんだ?」と期待してしまう。
そして期待以上の行動をするピニョン。こういう人間が実際にいるとなかなか面白そうではあるのだが、きっと疲弊してしまうであろうことは間違いない。

そしてラストの秀逸なオチ。これは文句なしの最高の映画だ。


こうしてみるとバカな人間のほうが楽しく生きているなとも思うのだがどうなんだろう。
詰まるところ自分に正直な人間が一番魅力的な人間なわけであって、「賢さ」の仮面をつけた今の人間はもっと自分に熱くなって生きたほうがいいなとも考えさせられる。
ピニョンは自分がバカだと自覚したうえで自分に正直に生きている。たとえ周囲からバカにされつづけようとも真っ直ぐだ。

今の世の中を見渡してみると正直に生きていくのは難しいなと思う。周囲から監視され、snsでもバカを見つけると一気呵成に叩かれる。もっと寛容性を大事にしてもいいんじゃないかと。それはもちろんバカのほうにも責任はあるんだけどさ。誰にも迷惑をかけないバカならいいのだろう。

ピニョンはかつて妻に逃げられてしまい、それの拠りどころとしてマッチ棒での模型作りをしているだけだ。正気を見失わないためにもその趣味は大事なことであって、決してバカにはできない。

今の若者もまた何かを拠りどころにしないと生きていけないとも思う。ついこの前に起きたyoutubeのつまようじ事件とか。あれだって孤独の寂しさから生じた一種の「叫び」だ。「もっと自分をみてほしい」「自分はここにいるんだ」と叫んでいるようにみえた。

ちょっと内容からずれてしまった。

要するに、自分をバカだと認めることは強いと思う。立派な行為だ。
「自分のことをバカだと認められるだろうか?」
この映画のラストではそう問いかけているように感じた。


僕も認められるようになりたい。バカだと。笑いながら鑑賞しつつ、そう思った。