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高所恐怖症にはおすすめできない映画 「崖っぷちの男」

崖っぷちの男 DVD


タイトル通り、崖っぷちの男の物語である。
この「崖っぷち」二重の意味がある。上の画像を見ていただければ分かると思うが「崖っぷち」である。
そしてこの男は脱獄犯でもある。
文字通りの崖っぷちの状況。この男はなぜこんなことをしでかしたのか?
それがこの映画の核となる部分でもある。

映画『崖っぷちの男』予告編 - YouTube

あらすじ

30億円のダイヤモンドを強奪した罪で刑務所に収監されている元刑事ニック・キャシディは、元同僚マイク・アッカーマンとの面談で父が危篤状態であることを知る。結果、父親は亡くなり、マイクの計らいで葬儀に出席することを許されるが、その場で騒ぎを起こし逃亡する。

その後、ニックはJ.ウォーカーを名乗ってニューヨーク・ルーズベルトホテルの高層階に部屋をとり、飛び降り自殺を図ろうとする。制止しようと説得する警察に対しニックは、女性刑事リディア・マーサーを交渉役として指名する。

感想

導入部からなかなかに引き込まれた。
主人公がいきなりホテルの高層階から身を乗り出し、窓の外―――かなりぎりぎりの崖っぷちへと立つ。「なぜ?」と観客にいきなり疑問をぶつけ、そこから物語が始まるのだから面白い。

そして脚本がよくできている。
あまり詳しくは書かないが、この主人公は自らが立った崖っぷちを利用し、ある「目的」のためにこの崖っぷちの舞台を巧妙に利用する。一種のステージショーとでいもいえばいいのだろうか。ニューヨーク市民も警察も、彼の巧みな演技に翻弄される。

裏ではまた別の物語も進行する。この裏の物語と先ほど書いた表の物語。その二つが綺麗に絡まりあい、まるで二重螺旋のように構成されていくその脚本には唸らざるを得ない。
伏線回収も見事だ。特にラストシーンでは壮大なカタルシスをもって伏線を回収しており、非常に見ごたえがあった。

自殺を図ろうとする主人公を目にしようと群がる市民達はまさしく現実そのもので、どこか不気味な感じがした。この群集心理の不気味さは、人間の根源の性質、本質を突いている。そしてそれは今の社会にも通じている部分があるのではないか。ある意味でこの映画は、現実の社会そのものを象徴しているといってもいいだろう。
万人が楽しめる映画のように僕は思う。