物語好きのブログ

映画や本の感想、自分の考えを書いています。 

終わらない二月二日「恋はデジャ・ブ」 感想

「恋はデジャ・ブ」というタイトルだけ読むとただのラブコメものだと予想してしまいそうだ。しかし、本作はタイムループものでもある。超面白かった。
不可思議な現象によって同じ日を繰り返すことになった主人公フィルが、自分を見つめなおし自分を変えていく物語。
カテゴリーで分類するのであればラブコメではある。だが本作はそんなカテゴリーを軽々と凌駕し、観ている者に様々な問いかけを突きつける。それでありながら夢を与える内容となっており、素晴らしいの一言。
この映画が楽しめるのならば「ミッション:8ミニッツ」も間違いなく面白いのでオススメしておく。
恋はデジャ・ブ [DVD]

あらすじ

気象予報士のフィルは同僚でありヒロインのリタと、もう一人の同僚ラリーと共に二月二日に行われる「グラウンドホッグデー」を取材するため田舎町に滞在することになった。フィルはそこでタイムループ現象に巻き込まれることになる。

感想

安定したストーリー展開で純粋に楽しむことができた。「もし同じ日が続くのならどうする?」という誰もがするであろう様々な妄想を、この主人公フィルは実際にタイムループに巻き込まれた中で実際にやってのけている。どうせ同じ日を繰り返すのだからと犯罪に走ったり、様々な自殺をしたり、女の子を口説いたりとフィルの行動が突飛で面白い。

主人公フィルの性格はかなり「悪い」。高慢な人物として描かれている。自分勝手でわがまま、田舎者を見下し、仕事の愚痴を周囲にこぼし、仕事仲間のリタとラリーもそんなフィルに辟易としている。
そんなフィルが同じ日を繰り返すタイムループに巻き込まれる。
この不可思議な現象は、これといった理由がなく発生する。ただ単に自然現象なのだと僕は思う。もしくは、神様が与えてくれたフィルへのチャンスなのかなとも思った。

印象的なシーンがかなりあるのだが、何個か紹介する。
フィルがこの町に住む男二人とビールを飲みつつ、「なんでこんな最悪な日なんだと」愚痴をこぼす、だが男は半分になったビールジョッキを指して
「もう半分しかないと見るか、あと半分も残ってると見るか」
といったシーンがある。
このシーンを最初に観た時は「いいこといってるなぁ」としか思わなかったが、後に重要な意味を持っていたことに感心した。

もう一つある。
フィルがリタに好意をもち、タイムループを利用して親密な関係になろうと尽力するがフィルの性格が悪いので何度繰り返しても嫌われてしまう。そんな中、リタにこう言われる

「あなたが愛しているのは自分だけ」

フィルは同じ時間の中を繰り返すことしかできない。変わることのない一日。終わることのない二月二日。変わることのないフィル。リタを口説こうと必死に試行錯誤しても振り向いてくれない。
二月二日をどうやっても変えることができないのなら―――自分が変わるしかない。
そう決意したフィルは清々しい。その時間を真っ直ぐに楽しんでおり、綺麗だった。

どれだけ先のことを考えようとも、先になってみないとわからない。ならば「今、この瞬間」を全力で楽しむ。それが全てなんだ。
終わらない一日の中で気がつく「一日」の大切さは人生を輝きに満ちたものにしてくれる。

「一つのある場所から出られず、毎日が同じことの繰り返しなら、君はどうする?」