物語好きのブログ

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東大教授が教える独学勉強法を読んで

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なぜ人は学ぶのだろうか?



独学のやり方を知るということは、これから生きていく上で大きな武器となる。
情報が錯綜し、氾濫している。その情報は多くの選択肢となって人に選択を迫ってくる。
今はそういった時代だ。
その中で僕達にできることは、自信をもって選択をすることだ。
では、自信を持って選択するにはどうしたらいいだろう?

それは知識を得ることだ。多くの知識と知恵を得ることで、情報を見極めることができる。
次に、その知識や知恵はどうやって身につければいいのだろうか?

それは独学をすることである。

だから今の社会で生きていく上で、独学は必須スキルといっても過言ではないだろう。独学という武器を使い、社会を生きていくのだ。

だからといって、独学をいざやるとなると、なかなか難しい。継続できず、やり方がわからず、「自分には能力がないいんだと」挫折してしまう。


本書「東大教授が教える独学勉強法」は、その独学のやり方を懇切丁寧に説明しており、独学をするのにとても参考になった。

勉強とは何か、本の読み方に、アウトプットの磨き方。
読み応えがあり、それでいてわかりやすい。

けっこう内容が詰まっていた。学んだことを、ざっくりと要約しつつ書き残していく。


情報に振り回されない人間が、優秀な人間


モバイルとインターネットの発達は、個人が各々、自分専用の図書館を持ったようなものだ。
わからないことを検索すれば、すぐにそれらしい解答をもらえるようになった。

これは普通に考えればメリットだ。
昔は覚えておくべき知識が山ほどあり、そのために時間を費やすことが多かったからだ。
もちろん問題も生じてくる。それは情報が溢れかえってどの情報が正しいか、それを判断する力が問われてくるようになったことだ。

社会にでると、正解が無い問いに多く直面する。世の中のことはまったくわからない。そして、正解がある問いに教育の重点を置いている日本では、正解が無い問題に対しての向き合い方を学んでいない。
だからそこで挫折する人間が多いことも事実だ。

だから独学を学ぶことによって、情報にも振り回されず、的確な情報を掴むことができる。
正解の無い問いにも自分なりの答えを見つけることができる。

考えることができる人間が必要なのだ。

これからコンピュータは更に進化を遂げる。その時人間が生き残るとしたら、コンピュータにはできないことを学んでおく必要があるだろう。
最近のニュースでも、新たに人工知能は進化を遂げていた。恐ろしい。



勉強とは何か?

勉強には三種類の勉強がある。

1 明確なゴールがある勉強


2 教養を身につけるための勉強


3 答えの無い問いに自分なりの答えを身につける勉強。


本書は3を中心に説明している。


独学のメリットは自分のペースで勉強ができることだ。いつどのようにどうやって勉強してもいい。ペースが遅くても、早くてもいい。
そして、当然のことではあるのだが理解のスピードは人によって違う。だから独学をしていて理解ができないこともある。ここで肝心なのは嘆いてはいけないことだ。大抵は理解の方法が自分にあっていないというだけだ。
ではどうすればいいか?それは自分にあった勉強法を身につけることだ。

勉強には準備期間がいる


まずは方針を決めなければならない。方針をもって勉強しなければ、あっさり三日坊主になる。僕自身、そういった経験が何度もある。そして続かなかった大抵の理由が、これといった目標を持っていなかったということが多い。


まず本を実際に読んで、何が理解できていないかを知った上で方針にとりかかることが大事だと思う。

勉強のテーマの探し方


先ほども書いたが、世の中は分かっていないことだらけだ。
その中で「何がわかっていないかという視点からみる」ことがテーマの探し方だ。一つの問題意識が学問的欲求へと繋がっていく。漠然とした目標より、具体的な目標を持ったほうが良い。





勉強とは疑うところから始まる。得た知識を自分で一から組み立てる。本当に正しいか疑いをかける。反論を述べたりする。理屈を自分で説明することができるのか。それが勉強の本質。



情報収集はしすぎない

入門書を三冊程度集めるべき。それで理解できなくても、また別の入門書を三冊買えばいい。自然と造詣が深くなる。


そして疑い続ける。あらゆることに疑問を持ち、反論し続ける。そうすることで、自分の中にある理論が組み立てられていく。ようするに批判的に読むことだ。そうやって考えながら読むことが学びになる。

わからない用語は飛ばすこと

本から得られる知識より、自分なりに考えていくことが大事。
表面の事実は世の中に溢れかえっている。だからそういう今こそ事実をもっと掘り下げる必要がある。つまり、単に文字を読むだけに留まらず、その人が書いた文から、その人が何を考えているのか。どういう思想、理念で動いているのかを理解することが大事なのだ。そもそも、文字を読むということは「人を読む」ことなのだから。


専門書をもっと読む


理解できなくても、わかることだけ読めばいい。完璧はいらない。「わからないということがわかった」くらいの感覚でいい。そもそも、本の受け取り方は百人いれば百人とも違うのだ。普遍的真実なんてない。



専門書もそうだが、論文をもっと読んでいくことも大事だと思う。

著者とけんかしながら読む

専門書は独自の論理を展開している場合が多い。
これはこうだと説明する文に「本当か?それ」「これはこうだろう」といった風に、挑戦することが専門書を読むときの醍醐味。


本書は、「とにかく疑え」を一番重要視していると感じた。

私は、仕事の文章だけではなく、新聞や雑誌を読むときにもつねに反論をしています。
(中略)もちろん、まったくの門外漢である話題―――例えばips細胞〔多能性幹細胞)の話については、まず事実や理屈を素直に受け入れるという段階があります。だからといって、書かれている意見まで全面的に信用することはせずに、「ほかの人に言わせれば、また別の意見が出てくるかもしれないな」といった保留条件をつけて頭の中に置いておきます。

疑いこそ学問なのだろう。たしかに、人間は好奇心(疑問)から文明を発展させてきた。

普遍化させていく

歴史上の出来事から「普遍的な構造」を見出すこと。
表面的な歴史の事実は、何もしなければ単なるデータでしかない。分析し、組み立てながら考える。「これは過去からの未来に向けたメッセージなんだぞ」と意識しながら読む。普遍化とは「何か似たようなものはないか」「別の状況でも同じことがあてはまらないか」と考えること。
そしてまったく違う二つの分野を関連付けることが大事。

この関連づけは、前に読んだ「アイデアの作り方」にも通じているところがある。


人に伝えることで学びは深まる

相手に伝えるためには、自分が理解していないと伝えることができない。それを利用することで、学習を深めることができる。別に間違えていてもい。


勉強している過程で「自分はわかっていないのかもしれない」と感じる瞬間をどれだけ経験するか、それが「わかる」ことなのかもしれない。


要約することではなく、自分の言葉で書くのが、成長へと繋がる。


これは僕にとって耳が痛い話だ。
だけど、要約することで理解を深めることもあると僕は考えている。そもそも理解できていないと要約はできない。全部が全部要約はちょっと問題かもしれないけれど。

要するに「考え続ける」が大事ということなのだろう。


感想

参考になった。
勉強と、独学の本質そのものがここに書いてある。それでいて文章は誰にでも読めるわかりやすさを持っている。もし勉強の道に迷ったら、これからも本書を読んでいくだろう。



東大教授が教える独学勉強法

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