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「経済は感情で動く」 感想

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僕たちは暮らしの中で、いろんな感情を体験するが、何かを決める段取りになると、その感情が判断を鈍らせ、求めていたものと大違いの結論を出す。
人の判断力は案外当てにならないものだ。

本書では、その判断力を二十一世紀の新しい学問「行動経済学」を基に説明している。
行動経済学とは、要するに心理学を経済に応用させ、それを経済発展のために生かそうと取り入れられた学問だ。「人の合理性を無視した行動」を説明づけるための学問といってもいいだろう。
本書では、いかに人の判断力が脆いかを、例を挙げつつそれに準じた簡単なテストを出している。
おもしろかった。本書に書かれてある小さな実験や具体的なケース、テストや問題やパズルには、経済上の選択の際に日々体験する矛盾や失敗例が詰まっており、目から鱗な事例も知ることができたからだ。経済に疎い僕でもわかりやすく学ぶことができた。

自分の行動が非合理な考え方でまかり通ったままでは、将来的に損をする可能性が高い。それは危ういことだ。

本書で学んだことを、簡単に要約する。

日常の中の不合理

パート1の日常の中の不合理では、人の頭にあるお金は、絶対的で抽象てきなものではないとして扱っていることを説明している。
しばらく着なかった上着のポケットにふいに見つけたボーナスみたいなお金と、汗水流して稼いだお金がおなじものとは思えないのだ。
そう考えると、たしかにラッキーで手に入れたお金は、雑に扱ってる気もする。

選択とは

選択で思わず注目してしまうのは、「肯定面より否定面」である。政治家の選挙で、汚職やスキャンルを嫌うのはそのため。
選択の際には、自分を客観的に見つめ、プラス面かマイナス面、どちらを見ているのか問いかけるのが大事。
寿司屋のランチメニューで「特上・上・中」とあれば、「上」の注文が多い。一般に三つの選択肢では、真ん中が最も多く売れる。
たしかに、僕も買い物をするとき、安い高いは選ばずに、中間を選んでいるような気がする。これは操られていたのか?そうなるとちょっと悔しいな。

自分自身を知る

パート2では、自分自身を知ることが肝心だと説いている。本質を見極めないと、重要な情報を誤って判断してしまいがちになるからだ。
マスメディアの報道で、統計数字については母体数がどれだけか確認し、%表示は実数。実数であれば%にする癖をつける。そうすることで、最初の印象とは違った本質を見抜くことができる。
たしかに、人は自分にとって都合のいい面だけをみたくなるところがあると思う。
自分に都合のいい面だけを見たがるのは危険だということなのだろう。

判断するのは感情か理性か

パート3では判断するのは感情か理性かを取り扱っている。
感情と理性、両者を上手く扱うのな難しい。人はついつい感情を優先する場合もあるし、理性を優先する場合もあるからだ。両者を対等な位置におき、そこで意思決定するのは難しいものだ。

脳における意思決定は、「意識してから行動に移す」ではなく、「意識する」0.35秒前に脳は既に活動しているという。
意識より速く脳は活動を開始している。そう考えると、人は無意識に縛られているのだなと実感する。たしかに、人のほとんどの行動は無意識によるものだ。

デイヴィッド・ヒュームは

「理性はつにね感情の奴隷でしかない」

と言った。
日々の経済の多くの状況では、感情は邪魔なのだろう。だが、経済を学んでくると、感情が経済の大半を占めているような印象を受ける。
そこをちゃんと理解し、自分を客観的に見つめることも大事なのだろう。

感想

こうしてみると、世の中の広告とかは、行動経済学に基づいているものが多いと思う。今日スーパーに買いに行った時も、行動経済学を利用している広告を目撃した。

感情で生きるのはいいことだと思う。ただ、そのときに痛い目にあわないようにするためには理性が必要だ。そこを本書ではわかりやすく教えてくれた。
経済はやはり面白い。

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学

経済は感情で動く―― はじめての行動経済学