小説 すきまのおともだちたち
童話のような物語。
道に迷って、家に帰れなくなった新聞記者の「わたし」
レモンの木からレモネードを作り、それを売ることで生計を立てている「おんなのこ」と、古びた喋る「お皿」がでてくる。
こういった柔らかい雰囲気の小説を読むのは、かなり久々だ。
読んでいて、暖かく包み込むような・・・・・・懐かしさと優しさを感じる心地がした。なんといえばいいのだろうか、冬の寒空の下、焚き火を熾してる子供の時のような(ちょっと曖昧だが)
「わたし」は突然『すきま』の世界に迷いこんでしまう。現実とは少しずれたすきまの世界。ずっと変わらない存在であり続ける人、物、時間。
「わたし」は「おんなのこ」の家に旅人として泊めてもらい、小さいが、とても大切なことを教えてもらう。
何も変わることなく、ひたすらそこにあり続ける。それは、大切なことなんだと。
僕達の世界は、常に変わり続ける。静止なんかない。だが、物語だけは変わることなく、この世界に寄り添っている。
物語を久々に読み返したとき、物語から感じることが大きく変わることがある。
それは、物語が変化したのではない。自分自身が変わってしまったからこそ、そう感じるのだ。