物語好きのブログ

映画や本の感想、自分の考えを書いています。 

ログ・ホライズン3

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どんな世界で生きるにも、必要なのは「仲間」なのだろう。



この現実の世界、僕達は一人で決して生きていくことはできない。
身の回りに溢れている、あらゆる道具、機器、システム―――これらは先人達が努力を重ね、研鑽した結果受け継がれてきたものだ。
決して一人で成し遂げたものはない。必ず誰かの支えがあり、そこには「仲間」の存在がいたはずだ。
それはしごく当たり前のことなんだけれど、普段はあまり意識してはいないのではいのだろうか。
この物語は、そんな普段意識していない「仲間」の大切さを、面白く、心躍る世界観の中で伝えてくれる。



あらすじ


オンラインゲームの世界「エルダー・テイル」に閉じ込められて一ヶ月以上が経ち、自立が確立し、発見と発展が進むアキバの街に一通の書状が届く。
それは<大地人>からの会議と舞踏会への招待状だった。
シロエはこの世界の根幹へと近づいていく。

感想

現実の世界とは大きく異なるこのゲームの世界では、シロエ達<冒険者>は、この世界に暮らす<大地人>にとってただ不気味な存在でしかなかった。
尋常ではない体力に、死ぬことがない体。戦闘力。経済。どの面をとってみても<冒険者>は目障りな存在なのだ。
ならば接触して確かめたいというのが<大地人>としての対処方だろう。
お互いの力量を知っておく、人間関係を深めておく、それは未知の人と接したときにするべき最善の策だ。だからこその招待状なのだろう。



レイネシアとクラスティの関係がとても僕好みだ。
公爵家の令嬢と、一介の<冒険者>身分は違えどお互い人なのだ。
淑女としての演技で男をあしらっていたレイネシア。だがそんな演技もクラスティの前ではあっさりと剥がされてしまう。レイネシアが遠まわしに追い払おうとしても、クラスティはあっさり退け、お互い持ちつ持たれつの状況になっていく。


この二人の関係はどうなってしまうのだろう?続きがとても気になる。


いろいろな物語が同時進行していくなかで、初心者五人組のパーティの話も面白かった。
合宿となった五人組は、初心者向けの迷宮に挑むことになる。

最初は上手く連携がとれず、三時間しかもたずに迷宮から撤退する五人組だった。
何日も同じことを繰り返し、少し険悪なムードになりつつあるが、それでも親睦は少しづつ深まっていく。そしてミノリがこのままじゃだめだと、ある提案をする。

それは、お互いを分かり合うこと。

怯えて留まっていたのは自分の心だとミノリは気づいた。
ミノリは「自分が弱い人間」だとみんなに吐露する。
弱いから、みんなのことを理解しないと役に立てないと素直に認めたのだ。
そこから、五人はお互いを知ろうと会話を深める。
自身の特徴を伝え、相手の特徴を聞き取る。
自分が得意なこと、苦手なこと、それを相手にしっかり伝えることができてこそ、「仲間」になれるのだ。

このお互いを知ろうとする会話のシーンが僕は好みだ。
何も知らなかったんだと知り、そこから進歩しようとする様子はとても「仲間」になってるんだなと伝わってきた。


そこから五人は大きく進展する。迷宮でも上手く連携がとれ、声を掛け合い、敵を倒すことができた。

強くなる正解はレベルじゃなかった。
この世界で戦うためには「仲間」が必要だ。
仲間を作るためには、言葉をかけて、行動を重ねる必要がある。それは強力な特技やレベルでは手に入らない宝物なのだ。

この物語ではそう語っている。

その通りだと思う。
相手と自分。それは全く異なる存在だ。価値観も違えば容姿も性別も生きてきた時間も違う。
それらを理解するには、言葉をかけるしかないのだ。
お互いを知りたいという感情。
お互いが違うんだと知ること。
そうして人は分かり合っていくのだ。





面白かった。
続きをさっさと読もう。