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思考の基本書「知的複眼思考法」

問題解決の最初にすることは「問う」ことだろう。だが、その問い方があまりにも安直だと、安直な答えしか返ってこない。
問い方が甘いのだ。そうなると考えを深めることはできないまま思考が凍結してしまう。「問い」を上手に展開し、掘り下げていくことが思考停止にならない方法である。

本書は問題解決の手段を掴めていない人にとって最適の一冊となる。
シンプルでとてもわかりやすく、思考法の基礎を懇切丁寧に解説してある。

問題解決に対する様々な手段が克明に書かれており、なおかつ例えや実践例を交えて書かれていてとても読みやすい(理解しやすい)。
問題解決の手段に困窮している人には是非読んでもらいたい。思考法の具体的な手段が多く書かれている。特にこの本書は学生が読むべき一冊だ。間違いなく役に立つ。
著者が語る「知的複眼思考」とは字面だけを見れば小難しいと思うかもしれない。だが、実際はそうではない。複眼思考とは問題に対しての思考を一つに絞るのではなく、多角的な視点から見るための思考のことだ。つまり、見えざる常識に惑わされずに論理的に思考する(自分で思考する)ことで、求めるべき問いを見出す方法のことだ。
ただし、重要なのはあくまで「複眼思考」であって、必ず正解があるのだという発想からでは「複眼思考」は成り立たない。

本書はとても理解しやすい。 読者に情報を伝えていくプロセスを、念入りに考えているのだなと重々に伝わってきた。 本書は読者に何度も問いかけてくる。実際にある問題について思考させ、そして著者なりの思考法を読者に伝える。そうすることで思考法を比較し、見比べることができ客観的に分析ができるようになる。


第一章の「創造的読書で思考力を鍛える」は本を読むものにとって大いに役に立つ。
著者はまず、本を読む場合には批判的に読むことをすすめている。
著者はいう。知識だけを受容するだけの読書では、ただ「勉強しているつもり」になっているだけであって、決して自分で考えることにはならないのだと。知識を追いかけている読書では考えることはできないのだと。
そこで著者は、批判的読書のコツとして20のポイントを挙げている。
その中でも重要なポイントを4つ挙げる。

  1. 著者を簡単には信用しないこと
  2. 著者のねらいをつかむこと
  3. 論理を丹念に追うこと、根拠を疑うこと
  4. 著者の前提を探り出し、疑うこと

このように、思考の技術やポイントがとても分かりやすく書かれており、なおかつ理解しやすい例を使って思考を促したりと、思考の基本書として最高の一冊となっている。僕自身も考えるにあたっての足掛かりとなった。特に、「常識」や「前提」を浮き立たせる考え方は大いに参考になった。
本書は自分なりの思考法を見つけ、編み出したい者の羅針盤となるだろう。